いま高校2年生と、宮沢賢治の「永訣の朝」を読んでいます。
これまでも何度もこの詩を授業で扱ってきました。その度に胸に迫るものがあるのでしたが、今回はこれまで以上に強く惹きつけられています。
「永訣の朝」という詩は、賢治の良き理解者で最愛の妹トシ(詩の中では「とし子」と表現されています)が天国に旅立つその日の朝を描いた美しく悲しい詩です。
あめゆじゅとてちてけんじゃ
雨雪をとってきてください
トシの兄賢治への依頼です。
熱と喘ぎで苦しむ自分を目の前きして何もしてやれないでは無念で一生後悔させてしまうだろう、だから私に雨雪をとってきてと頼んだのだ、これは妹トシの優しさだ、そう賢治は捉えています。
映画化された直木賞作品「銀河鉄道の父」にも、トシの最期のシーンが、詩の世界を再現した感じで描かれていて見事です。
トシは花巻から東京の学校(今の日本女子大)で学んだ知的で進歩的な女性です。そして教職に就いて僅か一年で学校を去らねばならなくなります。
さぞかし無念だったことでしょう。
賢治もトシも人の役に立ちたいという思いが人一倍強かった兄妹でしたから。
映画では二人が互いを思いやる様子、家族全体が愛に満ちている様子が実に爽やかに清らかに表現されています。
作家の門井慶喜氏は、賢治の父が幼い賢治が入院した時につきっきりで看病したエピソードに着想を得て書いた作品なのだそうです。
明治の時代に病院に寝泊まりして看病する父政二郎は特殊だった!そんな視点から描かれています。
続きはまた^_−☆